古代、中国の人たちは死者を草むらの上に安置し、
月日が経つと肉体は風化し土に還り、骨が残る。
「死」という漢字の左側の「夕」は残骨という意味で、骨を表し
右側の「ヒ」は、人がひざまづいている姿つまり、骨を前にひざまづいて悲しんでいる姿です。
それが「死」という文字になった謂れです。
「死」は死者だけで「死」という文字になったのではなく、
遺された人たちが死者に向き合って、初めて「死」という文字になったのです。
そして「死」の上と下に草を書けば、「葬」です。
それを厳粛な儀式として勤めてきたことに「人間」の始まりがあります。
人間が葬送儀礼をしたのではなく、葬送儀礼をしたのが人間だったのです。
死者を悼み、これまでとこれからを今に尋ねる「儀式」が葬儀なのです。
だから「誰のために葬儀を勤めるのか」ということは、
死者のためであり、同時に生者のためでもあるのです。